やがて書きあぐねし凡情

=今日も何もなかった=

男女格差の原因は日本語の中に隠されている

なかなか解消されない男女の格差。その最も端的な事例が政治の世界です。世界の国会議員の中の男女比で女性の占める割合は、24.3%ですが、日本はまるでそのレヘルに達していないのです。

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 日本の女性議員比はG20の最下位

国会議員の中に女性が占める割合は、日本では10.2%です。この割合が、世界的にみてどのような水準なのかというと、193か国中165位というありさまです。さらに先進国首脳会議(G20)の中で絞ってみると、実に最下位という驚愕の結果です。 

フランスの男女格差の取り組み

フランスでは、議員の男女格差をなくすために、画期的な選挙制度を導入しました。「男女ペア方式」です。2015年に行われた県議会選挙では、1人区だった選挙区をすべて2人区に再編成し、男女ペアを組んで立候補する候補者の中から、一組のペアを選んで投票するのです。これを実施したことにより、フランス国内の県会議員の比率は、いっきに男女半々になったのです。 

フランスでの政界女性進出は意外なことに遅く、1944年のことです。下院における国会議員の男女比も1970年代前半では、女性はまだ1%だったのです。そのため男女比を半派にしなければ、政党助成金を減額するという措置がとられました。これにより下院では現在は26.9%まで上昇しています。 

ところが政党助成金の適用がない地方議会では、このような縛りが通じなかったために「男女ペア方式」という方法を編み出したのです。この制度の導入により、男性の半分近くが議席を失うことになるわけですから、よくこんな法案が可決したものだと、ただ感心するばかりです。 

こんな方式が、日本で実現する日がくるでしょうか。あるいは別の方法によって議員数の男女半々が実現する日がくるでしょうか。私は未来永劫実現しないとみています。なぜなら、その原因は日本語特有の言語体系にあるからです。どういうことなのか説明していきましょう。  

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女は男の三倍喋っている

男女では1日に発する単語数に違いがあるのをご存知でしょうか。ある研究によると、男性が1日に発する単語数か平均7,000語なのに対して、女性の場合は平均20,000語だそうです。女性は実に男性の約3倍もの単語数を発しているのです。

それなら当然のことながら、使用する語彙も女性の方が豊富だろうと考えがちですが、実のところ違います。違うどころか、女性の使用する語彙は男性よりも少ないのです。

男女の一人称を比較すると 

一人称で自分自身を示す言葉をみていきましょう。次のようなものがあります。

用語

公式の場での使用

わたし

わたくし

あたし

×

あたくし

×

あたい

×

×

うち

×

わし

×

×

ぼく

×

おれ

×

×

わがはい

×

×

おいら

×

×

あっし

×

×

こちとら

×

×

じぶん

×

×

てまえ

×

×

しょうせい

×

それがし

×

せっしゃ

×

×

おら

×

×

 男性は女性の3分の1しか喋らないにもかかわらず、自分を示す言語数は圧倒的に男性の方が多いのです。しかもここでは「わたし」と「あたし」を区別しましたが、実際の会話の中では、どちらを使用したのかは分からないことがほとんどです。 

厳密にいえば女性の一人称はさらに少ない

古い話で恐縮ですが、かつてピンキー(今陽子)&キラーズが歌った「恋の季節」では、この使い分けをしています。「あたしは裸足で」「恋はわたしの恋は」という具合です。ところが、ミリオンセラーとなったこの曲の全盛時ですら、その違いに気づいた人はほとんどいませんでした。つまり女性が使用する一人称は漢字で示す「私」と「うち」「あたい」くらいしか存在しないということなのです。 

また公式の場で使用するというのは、会社の会議などを想定していますが、男性の場合は立場によって、もう少し使用範囲が広がります。

△は裁判などの証人として使用するかということを想定しました。「ぼく」「それがし」「しょうせい」あたりは、裁判員裁判において使用しても信頼感を得られそうです。ところが「あたい」「うち」はどうでしょう。「あたいは本当に現場で見たんです」といっても、にわかに証言の信ぴょう性を得られそうにありません。 

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二人称でも男女差がある

相手を指す「あなた」についても同様です。女性が使用する言語を思い浮かべてみてください「あなた」「あんた」くらいしかありません。死語を探しても「お前さん」くらいなものでしょう。ところが男性が使用する言語だと「あなた」「きみ」「おまえ」「おめえ」「てめえ」「おのれ」「われ」「おたく」「なんじ」「きこう」「きでん」など実に様々です。 

男性はこれら一人称、二人称を立場や場所によって微妙に使い分けて、物事を進めていきます。ときには恫喝的な使用をしたり、あるいは手下に師事を出す際に使用したり、集団をまとめる際に使用したりと、巧みに使い分けます。  

 まとめ~この壁をどう乗り越えるのか

長い日本の歴史の中で、男性は権力闘争を繰り返しながら、一人称を使い分けることで自分の立場を明確にしてきました。それはあたかもお山のサルの権力闘争のようです。 

その権力闘争の中で、女性の地位は置き去りにされ、あるいは固定化されてきたために、使用する一人称、二人称の用語が育たなかったのです。 

「女性上位の時代」ともてはやされながら、日本の女性は依然として旧態依然とした世界に甘んじています。外国ではこうした男女差はほとんどみられません。基本的には男女共有の「You&I」なのです。 

日本で男女格差を解消しようとすれば、この「言語の壁」つまり「歴史的背景による壁」を突破しない限り困難だと言わざるを得ません。