やがて書きあぐねし凡情

=今日も何もなかった=

水掛け論の水でお茶を沸かす方法/役所のお仕事

役所から誤った情報をもらい苦い思いをした人はいませんか?  後で抗議をしても知らぬ存ぜぬの一点張り。口頭でのやりとりだったため何の証拠もなく泣き寝入りするしかありません。 そんな事態を未然に防ぐ裏ワザをご紹介します。

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事実を白紙にされてしまう

役所は異動やら新人の配属などで陣容がごろりと変わります。このため、特に春先は業務に精通していない職員が窓口で対応することがしばしばあります。職員も 四苦八苦しているのでしょうが、我々が最も困るのが不正確な説明を受けることです。

説明どおりに書類を作成したのに、後日提出したらダメ出しをされてまた 一からやり直しという経験をされた方は少なからずおられるのではないでしょうか。

「あの時、こう言いましたよね」と詰め寄っても「言ってない」 とシラを切られるばかりです。つい激昂して大声でも出そうものなら、奥から管理職らしき人が出てきて、「まあまあ」と宥められ、挙句の果ては、「言った言わない の水かけ論はきりがないから、ここは仕切り直ししましょう」と相手のいいようにお茶を濁されてしまうのです。

誰しも濁ったお茶など飲みたくないでしょう。では、この濁されたお茶をクリアで美味しいお茶に変えるにはどうすればいいでしょうか。たとえば、こんな事があったとします。

事例

ペッ ト美容室の開業を目論んでいたトリマーが絶好の物件を見つけました。用途地域は第一種住居地域です。営業可能な用途地域かが気になったので、役所の窓口に出向いて聞いたところ、すげなく「無理」と言われたのでこの物件は諦めます。

ところが一年後にたまたまその物件の前を通ったところ、驚いたことにライバル の経営するペット美容室が開業されており、しかもかなり繁盛している様子です。 当然トリマーは、怒り心頭で役所に怒鳴り込みますが、担当者から、「第一種住居地域でダメと言うはずがない。そもそもあなたから相談を受けた記憶すらない」と堂々と言い切られ、反論のしようもありませんでした……。

対応を協議議事録にまとめよう

この事例はたとえ話ですが、おそらく似たような話は山ほどあるでしょう。もし職員の受け答えに不安を感じたり、いかにも新人で頼りないと思った場合は、自宅や事務所に戻ったら、ただちに 窓口での 会話を「協議議事録」としてまとめてください 。これが非常に有効な仕事をしてくれるのです。

協議議事録は簡潔なものでよい

「協議年月日、時間、場所、担当者の名前」このあたりは基本です。「担当者の名前」は必須ですから、協議前に名札で確認してください。そもそも名札のないような職員は協議相手として不適切ですから、名札をつけるよう要求するか担当を変えるよう求めましょう。

そして協議内容は、こちらの質問と相手の回答を簡潔に書き込みます。Q&A形式でもいいでしょう。文面の最後に「議事録に誤りのある場合は、ご連絡ください、速やかに修正します」と記し、こちらの連絡先を明記しましょう。さらに、相談時に提示した地図や写真などの写し も添えておきます。

個人宛ではなく部署宛で送ろう

こうして 完成した協議議事録を担当者の所属する部署名宛てに送付します 。

「〇〇市役所〇〇課御中」と 部署に宛てて送るのが大事 なポイントです 。間違っても、 応対した窓口担当者名を宛名に記してはいけません 。担当者宛てだと、郵便物はアルバイト等の職員が単純に仕分けして、担当者の机の上に直行します。

役所といえども堅い郵便物ばかりでなく、個人宛に飲食店からの案内や情報会社からのDMなどが届きます。これらはあくまで私物扱いです。せっかく苦労して作成した議事録が、それらと同列になってしまい、担当者の机の奥深くしまい込まれる可能性が十分にあります。

ところがこれが部署名宛てだと、アルバイトや不慣れな職員では誰に手渡していいのか判断ができませんから、庶務担当の職員に判断を委ねることになります。この職員が開封して業務上の文書だと判断すれば、その郵便物に収受印が押され晴れて公文書となるのです。

情報公開請求をしよう

1週間ほど待って訂正等の連絡がなければ、自らが作成した協議録を情報公開請求してください 。担当者が協議録を内部でどう処理したかに関わりなく、ほどなく開示の決定が下されますから、その写しを入手 すればいいのです。

これでもう「水かけ論」だと一蹴されることもなく、この協議録をスタート台として、さらに次の段階に駒を進められるのです。

また、こうすることで、職員も自分の誤りに気付き、不慮の事態を未然に防ぐ予防策にもなります。実は職員の方も、後で誤りに気付いたものの伝えた相手の連絡先が分からず苦悩しているということが多々あるようです。

その意味では、ウィンウィンの関係にもなり得る手段だといえるのです。

職員メモも公文書になる

情報公開の対象となる公文書というと、ついきちんと決済をとった決定書のようなものを連想しますが、そればかりではありません。業務で作成したすべての文書、さらにはメモ書きまでも対象になるのです。

本来あってはならないことですが、森友学園の一連の問題対応を見ると、国と地方では公文書の定義が微妙に違うようです。しかし少なくとも地方自治体では、先の例のように外部から届いた文書や役所内部の意思決定経過の記録も対象となるのはもちろんのこと、窓口で の協議の際に担当者が自らの忘備のために記した手帳のメモなども情報公開文書の対象となります。人によっては、自分自身が懸案の解決にあたる意思形成のメモまでも公文書だという人もいます。

ただしメモについては明確な保管規定があるわけではないので、ほとんどの場合「存在しない」という回答になってしまいます。しかし水掛け論に陥り、何の手立てもない場合には、対応時に職員が書いていたメモを請求するのもひとつの方法です。

まとめ

ここまで、役所でのやり取りで水掛け論にならない方法を説明してきましたが、いかがでしたでしょうか。

本記事については、以前ホームページに掲載したところ、「記事内容に感動した」と、東日本のとある行政書士の方から熱い内容の書簡をいただいたことがあります。その方とは、何度か業務に関する相談を電話でやりとりしましたが、現実に役所とのやりとりで困っている方は大勢いるようです。

本記事が、行政手続の円滑化のお役に立てれば幸いです。