やがて書きあぐねし凡情

=今日も何もなかった=

犬が歩けば孤独の風が吹いてくる

何十年とサラリーマンをやってきましたが、辞めた今となっては、よくも毎日枚員電車に揺られて通ったものだと不思議に思います。通勤途上、会社関係者に会うと、顔色を窺いながら、挨拶のひとつも交わさないと、たちまち不適格者の烙印をおされかねません。それが今では、誰を無視しようが、人から悪印象を持たれようが、なんの支障もないのですから、こんな楽なことはありません。

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有名だとお声がかかる

机上生活者の私は、近所を歩いてもまず知り合いと出会うことはありません。ところが、柴犬のナナミと散歩に出ると事情が変わります。しばしば呼び止められるのです。

 突然見知らぬ高齢婦人が「あっ、ナナミちゃんやんか」とまるで旧知の友のように犬に話しかけてきます。もちろん私は相手をまったく無視しています。あっ、名誉のために急いで申し添えれば、相手が高齢婦人だからつれない対応をしたのではありません。これが私の基本的なスタイルなのです。たとえシャラポアがラケットを携えて現れたとしても同様の対応をしています。たぶん。

下校途中の小学生にいたっては、「おっ、ナナミやんけ」と誰かが言おうものなら、たちまち数名に囲まれ、スキンシップが始まります。その間の私はまさに孤独の風に吹きさらされた透明人間さながらです。自宅 周辺200mの範囲の知名度は断然ナナミの方が高いでしょう。 

苦労すれば白髪が出るのは本当だった

この柴犬ナナミは、7年前に徳島県からやってきました。街中を放浪していたところを動物愛護団体に保護されていたのです。我が家にやってきた時の体重は、5.8㎏でした。体を触ると骨の位置が分かるほど痩せこけていました。

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左の写真は、動物愛護団体のホームページに掲載されていたものです。頭が銀杏の葉状に白くなっていましたので、これは生まれつきの紋様だと思っていたのですが、今ではその痕跡もありません。どうやら人間でいうところの白髪だったようです。 

そのためHPの紹介文にも「ちょっと年老いていますが」と書かれていました。ところが病院で調べると、推定6歳とのことで意外と若かったのです。 

ちなみに私は、同世代の人から「髪を染めているのか」とか、口の悪い人に至っては「ヅラか」と言われるほど、ほとんど白髪がありません。そう苦労知らずなんです。 

体重の方は、先日フィラリアの薬をもらいに病院に行って計ると11.1㎏でしたから、今では約2倍てす。ダイエット用の食事をしてこの体重ですから、普通食だとナナミデラックスになってしまうかもしれません。  

keynuu773.hatenablog.com 

散歩途中で拒否権を発動

ところで動物愛護団体のHPでは「散歩が上手にできます」というのがウリでした。たしかにおとなしく散歩をしてくれるのはいいのですが、何しろ半径200mのエリアから外に出ようとしません。まさに「テコでも動かない」状態になってしまいます。 

ここで踏ん張ることで体力を使うくらいなら、歩いたほうが楽だと思うのですが、本人にしてみれば、そんなことは知ったことではないのでしょう。


散歩を拒否する柴犬

 まとめ~人はなぜ働くのか

そして無事に家に帰ると「この帰宅する喜びを味わうために散歩をしたのだ」とばかりに部屋の中を全力で何週も駆け回るのですから、私からすればまったくの意味不明な行動です。それどころか「家に帰るために散歩する」というまるで禅問答か何かの哲学のように奥深さすら垣間見えてくるのです。

しかし考えてみれば、私も嫌々ながら会社に勤めていたのですが、辞めたときは、それまで味わったことのない開放感がありました。つまり私も「会社を辞めるために働いていた」ということだったのですね。