やがて書きあぐねし凡情

=今日も何もなかった=

万年係長ついに永世係長の座をつかむ~の巻

ついに振り込み詐欺の魔の手が伸びてきたのかと思いました。机の上にぽつりと置かれていた、56万円の納付書。身に覚えのない高額支払要求なので、これは絶対に怪しいと息を呑んで手に取りました。

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健康保険料の支払い請求だった

高額請求は、健康保険料の前払請求でした。実は、任意継続者ということで、退職後1年は、かつての勤務先の健康保険組合に加入していました。退職時に同額の保険料を支払ったと思いますが、退職金からの天引きだったのでまったく意識していませんでした。保険料は退職時の給与を基に算出されるらしいのです。

試しに国民健康保険の加入金を試算したら、退職後ほぼ無収入だったので何と6万円という結果に。金額にして年50万円以上の差額になります。これは、もう誰が考えても切り替えしか選択はないでしょう。過去の職場とはきっぱりと縁を切って、国民健康保険の加入手続をすることにしました。

昔の名前で呼ばれます

こうして、事務的に切れるしがらみならいいのですが、人間関係となると簡単にはいきません。少し前の話ですが、昔の付き合いの宴会に呼ばれて顔を出すと、そこにはかつての部下も参加していました。有村架純に似たとても明るい性格のその女性は、私の現役時代には、右腕としてしっかり支えてくれた人です。 

当時の思い出話に花を咲かせたり近況を尋ねたりと、和気あいあいに歓談をしていたのですが、ふと気になったのが、この カスミ嬢、私への呼称が相変わらず「係長」なんですね。 

名前も何もつけずにただの「係長」。「係長、相変わらず元気そうですね」とか「もう係長、飲み過ぎですよ」って感じです。たしかに係長職で辞めたのは事実だけど、今や役職とは無縁のフリーランスです。もう時が流れ、すっかり会社とも縁が切れているというのに、まだその役職名で呼ぶのかと正直なところ少し閉口しました。しかも、末端の役職である「係長」ですからね。 

そのうえこのカスミ嬢は、妙に生真面目ときているので、この先どこかの街中で偶然会った時にも、人目をはばからず、ひときわ大きな声で「係長、お久しぶりです」なんて言うのは目に見えています。杖をついて歩く爺さんになっていても、公衆の面前で「係長、体調はどうですか」なんてことを平気で言い出しかねません。

※【写真はイメージです】

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人は良き時代の距離感を変えたくない

そう、私が危惧しているのは、知らない人が見たら、「こんなに歳を食っているのに、まだ係長なのか」と思われてしまうじゃないかということなのです。

もちろんフリーランスの名刺も渡したのですが、どうやらカスミ嬢にしてみれば、「私の中では、係長はいつまでも係長ですよ」ということらしいです。しかも、悪意がないどころか、むしろ「好意の証だ」くらいの勢いで言っているので、面と向かって直してくれとは言い辛いところです。 

何より体面を気にする私としては、そんなことに拘るような小さな人間だと思われたくないので、表面上は大らかに笑い飛ばしました。だけど、真の私は「こんな年配者なのに、まだ係長なのか」と世間から思われてしまう事態に屈辱を感じる小市民なのです。 

そんなわけで、私、万年係長どころか「永世係長」を就任しました。