やがて書きあぐねし凡情

=今日も何もなかった=

二世帯住宅で繰り広げる親子劇場は悲劇か喜劇か?

「家が売れない理由を探る」といったテーマで記事を依頼されることがあります。その中の代表的な事例のひとつが「二世帯住宅」です。今回は、二世帯住宅に関する話を進めていきましょう。

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二世帯住宅は売れない

二世帯住宅であったであろう住宅が売りに出されているのを目にすると、この家ではたしてどんな暮らしがあったのだろうとつい思いを馳せてしまいます。

私の家にも実の娘が、年に一度、子連れで帰ってきていますが、その期間中は、うんさりするほど疲れます。実の娘なのに取り扱いが難しい。あまりに気難しい性格に「親の顔が見たい」と愚痴っても、その当の親が私だから、怒りのもっていきようがありません。

とはいえ、2~3日の期間限定で、ましてや自分の子に係ることですから我慢もできるのです。しかし、これに他人が加わる二世帯住宅となると、その気苦労は推して知るべしです。二世帯住宅の経験者が 「これならゾンビと暮らしている方がましだ」とぼやいていましたが、あながち大袈裟に持っているわけでもなさそうです。

なぜ二世帯住宅に資金をつぎ込むのか?

なので、親世帯が自ら率先して二世帯住宅を建築しようとするのか、しかも建築費用まで捻出するというのが不思議でしょうがありません。どうして、わざわざ茨の道を歩もうとするのでしょうか。

育児の方法も昔と大きく変わっています。かつて布おむつしかなかった時代の親が、紙おむつ主流の今の子育てに適応できるとは思えません。そういえば、昔の赤ちゃんは背中でおんぶしていましたが、今は前が主流です。新しい育児法を、ほぼ一から学び、覚えるのも大変です。結局昔の非科学的なやり方で接してしまい、なじられるのが関の山なのです。

結婚前に最終確認を

子世帯候補の方も立ち止まって考えてください。もし育児の不安を抱えているあなたに、未来の夫候補が「子育ては俺のママに任せておけばいいよ」と発言しようものなら要注意です。

その後にこんな説明が補足されるはずです「だって俺達兄弟をここまで立 派に育ててくれた育児の達人なんだから」。……もしカレがこんなことを口にするような人であれば、物事を客観視できないタイプの男性ですから、二世帯住宅どころか、結婚そのものを考え直した方が いいかもしれません。

二世帯住宅は実は「長屋」

さて、その二世帯住宅ですが、建築基準法上は、どんなジャンルに分類されるでしょうか。わざわざ二世帯という体裁をとるくらいですから、玄関、炊事場、風呂、便所は完全に別としているタイプが一般的だと思います。これだと「長屋」という分類になります。実は建築基準法では「二世帯住宅」という概念はなく、まったく関係のない別世帯が住んでいるものして取扱います。

通常の一戸建て住宅との違いは、世帯間に界壁という防火、遮音性能のあ る壁を天井裏まで立ち上げる必要があるということでしょうか。基準に適合したものであれば、たとえ姑の悪口を夫に訴えても聞かれることはありません。それと「長屋」は各地方の建築基準条例で基準を定めていることがあり、敷地形態や規模によっては、準耐火建築物という少し防火性能の高い建築物にする必要があるかもしれません。

ちなみに長屋というと昔ながらの棟割長屋を想像される方もおられると思いますが、たとえばこれが一階と二階に完全に分離した二世帯住宅であっても、同じように「長屋」という扱いになります。

離れを建てたらどうなる?

同じ屋根の下に住むのは抵抗があるので、母屋とは別棟で「離れ」を建てたいと思われる 方もおられるでしょう。この場合は、「一敷地一用途」の原則がネックになります。つまり一つの敷地に二つの住宅を建てることができないのです。建築確認申請上、敷地を分割して、それぞれが建ぺい率や接道要件などを守った別敷地として建築する必要があります。

もちろん、それが実現できるのであれば悩むこともないのですが、裏庭が空いているのに、2mの通路が確保できないので接道要件を満たさないといったことはありがちな話です。

そんなケースでどうしても別棟で建てたいとなると「離れ」を建てるしかありません。「離れ」というのは、この1棟だけでは機能が不足していて、「母屋」に補完してもらわないと成り立たない関係です。具体的には、「炊事場」「風呂」「便所」のいずれかが「離れ」には存在していなくて「母屋」でそれを使用するという形態です。

しかし現実の問題として、風呂や炊事場を毎日親の世帯に借りに行くというのでは、実に肩身の狭い思いをすることになります。

他人と暮らすのは大変だ

いずれにしても他人が顔を突き合わせて暮らすのですから、双方がかなりの人徳者でないとうまくいくはずがありません。時折テレビで「姑を尊敬している」という人を見かけますが、……あくまでテレビ内であって、現実に出会ったことがないのも不思議ですが……そう公言できる人は、きっと生き方が美しいのだろうなと思います。

私などは、実の親でも尊敬できないのに。あっ、だから娘とも気が合わないのですね。因果応報というやつでした。