やがて書きあぐねし凡情

=今日も何もなかった=

その天ぷらの衣は、なぜ食べられなかったか?

 本当に見事な仕上がりのエビの天ぷらだったんです。こんなものを家庭で味わえる日がくるなんて夢のよう。それもこれも高品質ガスレンジのおかげです。購入すれば30万円近いガスレンジをリースしたのです。鍋の油の温度が管理できるという優れもの。猿でも天ぷらがあげられるはずだったのですが……。

f:id:keynuu773:20190510051206j:plain

 ガスレンジは買い取ることに

そのガスレンジのリース期間が終了して、今後どうするのかという問い合わせの書簡が昨日届きました。選択肢は次の4つです。 

  1. 取り換え更新
  2. 再リース(年6千円)
  3. 購入(2万円)
  4. 修了

 まったく故障もなく、普通に調理ができるので、迷わず③の「購入」を選択しました。そもそもこんな高品質ガスレンジをリースしたのも、すべては妻の料理が未熟なためです。このガスレンジがくるまでは、衣のついた天ぷらなど食したことがありませんでした。 

keynuu773.hatenablog.com

 「なんちゃって料理」のオンパレード

このため我が家では、メニューの読み替えがスタンダードになっています。たとえば、天ぷらは「天ぷら風揚げ物」と称しています。この他にも一般家庭で称しているメニューを我が家では、次のように読み替えて食しています。 

  • 茶碗蒸し→茶碗蒸し風汁物
  • おでん→おでん風煮物
  • 八宝菜→八宝菜風スープ
  • オムライス→オムライス風炒め卵ご飯
  • おにぎり→おにぎり風団子飯

 茶碗蒸しだと思って食べたら、単に卵が入った汁物だったらがっかりもしますが、最初から「茶碗蒸し風汁物」だと思って食せば何の問題もありません。といった感じで、我が家では「なんちゃって料理」が並びます。

 「なんちゃって」とはなにか?

ところでこの「なんちゃって料理」の「なんちゃって」とはなんでしょうか。

 これは1977年から1978年にかけて東京都の電車車内に出没して乗客たちを笑わせたといわれる中年男性のことを「なんちゃっておじさん」呼んだところに由来があります。

当時の深夜のラジオ番組の投書を始めとしてテレビや雑誌などでも取り上げられ、日本中で社会現象と呼べるほどの大ブームとなったのです。実在の人物かどうかは諸説がありますが、日本の都市伝説の一つとして語られることもあります。 

定番のエピソードとしては、あるおじさんが電車の中でヤクザ風の連中に絡まれて泣き出したのですが、その連中が去った後で「なーんちゃって」と言ったのだというものです。 

今日ではこの「なんちゃって」が独り歩きをして、一見本物にみえるけれど実は偽物である場合に「なんちゃって〇〇」ということがあります。 

建築の世界だと、ビル全体をこう配屋根で覆っているように見せといて、実は外周だけしかこう配屋根にしていない場合に、「なんちゃって屋根」といったりします。 

あるいはまるで道路であるかのようにきれいに整備していながら、実は道路ではなく単なる私有地だった場合は「なんちゃって道路」といった表現をします。  

土井家の「一生もん」2品献立 (講談社のお料理BOOK)

土井家の「一生もん」2品献立 (講談社のお料理BOOK)

 

  なぜ天ぷらの衣は食べられなかつたのか

さて話は我が家の料理に戻りますが、これではいけないと奮起した妻は、ここにきてようやく、あの通信教育の「ユーキャン」で教材を取り寄せて、基礎から学び始めたのです。 

華々しくテレビでCMをやっているだけあって、ついに衣のついた天ぷらを口にすることができました。まさに我が家の歴史的瞬間と言ってもよいでしょう。思わずユーキャンと高品質ガスレンジに感謝しました。 

しかしとんでもない落とし穴が待っていました。ある日、今日の夕食はエビの天ぷらだと告知されました。やがて食卓には衣のしっかりついた10尾のエビの天ぷらが並びます。ところが喜び勇んで口にした瞬間、「パリッ」と嫌な音と感触が……。

そうです、エビを殻付きのままで揚げてしまっていたのです。おかげで、いちいち衣を剥 がしてエビを食すという面倒くさい、しかも衣の存在意義がまるでない陳腐な料理になっていました。 

名付けて、「エビの羽衣剥き」というなんとも艶めかしい 前衛的な「なんちゃって料理」が誕生した瞬間です。

おわりに

そんなわけで、エビの天ぷらは、できれば皮を剥いてからあげた方がおいしく仕上がります。もちろん衣も食せますからね。